1990年公開のイギリス映画。ベルナルド・ベルトルッチ監督「ラストエンペラー」に続き坂本龍一が音楽を担当。原作はポール・ボウルズ。1947年の北アフリカを舞台にした甘くない恋愛映画。音楽も映像も美しいのには理由があります。そこの倦怠期の二人は観とこうぜ!
高校生の時に映画館でこの映画を観て「夫婦って大変だなおい」と感じて今に至る、自称ゆるい映画ライターのモグモグです。好きな映画の五指には入るかもー。
映画「シェルタリング・スカイ」の意味とは?坂本龍一の音楽に高橋大輔も踊る!原作となった本は!?
まずは聴いて!
フィギュアスケートの高橋大輔選手がこの曲で演技したことで、坂本龍一の「The Sheltering Sky」を知った人も多いのだと思います。美しく物悲しくそしてドラマチックな曲だと思います。さすが教授だなー。
原作者のポール・ボウルズ
ポール・ボウルズの小説『極地の空』を映画化したのがこの「シェルタリング・スカイ」なのですが、『sheltering』の意味は『shelter』の現在分詞で『(風雨・危険などを避ける)避難所、 (避難)小屋』。映画の中でポール・ボウルズ本人も出ているのですが、彼のナレーションで
The sky hides the night behind it, and shelters the people beneath from the horror that lies above.
(空はその後ろに夜を隠している。そして、空の下で暮らす人々を夜の恐怖から庇護している。)
というのがあるんですね。映画のタイトルの意味はここから読み取れますね。
原作では、物質文明に生きる私たちが、文明的な物が無くなったとしても愛をもって暮らしていけるのか、というようなことが書かれていると昔聞いたことがあります。今更ですが原作読んでみたくなってきた・・
映画「シェルタリング・スカイ」あらすじネタバレあり!本を書いた当人の思いは!?
旅に出た二人
ネタバレしちゃうので、知りたくない方はここから読まないで!
モグモグの好きなシーンを載せるのでそれ見たら帰って!
ここのシーン好き
主演は『愛と青春の旅立ち』(テイラー・ハックフォード監督)でアカデミー主演女優賞ノミネートになったデブラ・ウィンガーと個性的な役が多いジョン・マルコヴィッチ。二人は倦怠期のアメリカ人夫婦で北アフリカに旅行に来たのですが(きっと二人の愛が再燃するきっかけにでもなればという思いがあったのではないかとモグモグは思う)旅先でも気持ちがすれ違ってしまうんですね。そして夫の方はアフリカの地で病に侵されて亡くなってしまうんですよ。妻のデブラ・ウィンガーはアフリカの地をそのままさまよい若い酋長に見初められて連れ帰られてしまい、そこで酋長のたくさんいる夫人の中の一人になってしまいます。一夫多妻なんだな。でも一人だけ白人だし、酋長がいないときに他のご婦人方からいじめられてしまうんですね。そしてそこも飛び出しまたアフリカの地をさまようデブラ・ウィンガー・・・
映画の後半についてポール・ボウルズ自身は納得がいっていないようです。原作とはかなり違うのかもしれませんね。
映画「シェルタリング・スカイ」坂本龍一再び
ベルナルド・ベルトルッチ監督は「シェルタリング・スカイ」の前に『ラストエンペラー』を撮り第60回アカデミー作品賞を受賞しています。ジョン・ローン素敵だったなー。
その時に音楽を担当していたのが坂本龍一、撮影も同じくヴィットリオ・ストラーロ。ベルトルッチとコンビのようなものですね。ヴィットリオ・ストラーロは光(照明)に対し彼独自の哲学を持っているそうで、確かに彼が撮影する作品は光の明度というか独特の空気感があるように思います。観たらストラーロ作品だと分かるぐらい。アカデミー撮影賞を3度も受賞し、多くのカメラマンに影響を与え続けているのもうなづけます。
音楽は坂本龍一、撮影はヴィットリオ・ストラーロ、もう、美しくないはずがないんですよ!!!
字幕なしですが、予告です。
切なくなるんですが、彷徨う気持ちも分からなくはない。映画としてはドラマチックな最後にしていると思います。また観たくなってきました。