「あなたの名前を呼べたなら」インド映画 英語タイトルは「SIR」

2018年インドとフランス合作映画。日本では2019年8月に公開。カンヌが注目する女性監督ロヘナ・ゲラが描く現代のインドを描いた長編デビュー作品です。




インドには2回行きましたが、価値観等な~んにも変化がなかった自称ゆるい映画ライターのモグモグです。またインドに行きたいな!

このところタイプの違うインド映画(舞台は同じムンバイ!)を観ているのですが、この「あなたの名前を呼べたなら」は、インド人の持っている価値観の大多数なのではないかなと思いますね。インドといえばターバンのイメージを持つ人も多いですが、ターバンを巻くのはインドの人口の割合としては2%しかいないシーク教徒ですしね。シーク教徒の人々のドキュメンタリー映画もとてもよかったです。古典的なインド映画も楽しいですが、インドの現代を描いた作品も秀逸なものが多いですね!




「あなたの名前を呼べたなら」英語タイトルとあらすじ

なんだかうっとり素敵なタイトルになっていますが、英語タイトルは「SIR」ずばり「だんな様」「ご主人様」ですからね。

あらすじは、経済発展著しいインドのムンバイ、農村出身で夫を亡くしたラトナは建設会社の御曹司の家で住み込みでメイドとして働いています。彼女の夢はファッションデザイナー。その御曹司アシュヴィンは結婚直前に婚約者の浮気が発覚し破談に。広すぎる高級マンションで暮らす傷心のアシュヴィンを気遣いながらラトナは身の回りの世話をしていました。ある日、彼女がアシュヴィンに小さなお願いをしたことから二人の距離は縮まっていくことに・・・



「あなたの名前を呼べたなら」感想とネタバレ

インドといえばカースト制度かなと思うのですが、貧富の差、田舎と都会の差が激しいインドで、そこに身分違いという複雑な歴史的背景もあり、現代の日本に住むモグモグからするとじれったい感が半端ないのですよ!昔は日本でもこういうことが日常茶飯事だったんだろうなと考えると、現代に生まれてほんとラッキーモグモグ。

お金持ちのだんな様と召使の私では立場が違いすぎます的なことを信じて疑わないんですよね、もちろん、ラトナだけではなく、インドではそれが当たり前の文化なので仕方のないことなのでしょうが。なんか納得いかない。

御曹司のアシュヴィンはアメリカで暮らしていたこともあるので、その辺はラトナより考え方が柔軟です。婚約破棄されてしまったアシュヴィンは始めは淋しかったからという理由もあったと思うのですが、ファッションデザイナーを夢見て行動を起こすラトナに次第に惹かれていきます。未亡人というだけで田舎では立場がないラトナ、健気に頑張る姿に応援したくなる気持ちも分かります。

アシュヴィンの方が積極的にラトナに近づいていくのですが、ラトナは自分の気持ちを抑えてアシュヴィンから離れようとするんですね。この後に待っているあらゆる、それも割と困難な出来事をラトナは分かっているんですね。女子は冷静。

ラトナはアシュヴィンの家の仕事を辞めて出て行ってしまいます。アシュヴィンも自分にはアメリカでの生活が合っていると両親に告げ、インドを出ることに。

最後のシーン、アメリカにいるアシュヴィンからラトナに電話が。ラトナはその時に初めて「だんな様」ではなく「アシュヴィン」と名前を呼ぶのでした。


「あなたの名前を呼べたなら」カンヌが注目する女性監督ロヘナ・ゲレラ

監督はアメリカで大学教育を受け、助監督や脚本家としてヨーロッパでも活躍。ムンバイ出身なのだそう。インドと欧米という二つの視点をもつ監督が、身分による差別が色濃く残るインド社会に変革を起こしたいという情熱で作り上げたのだそうです。

身分、女性、インドだけではなく、日本でもジェンダー差別があることをこの映画を観て感じることができるのではないでしょうか。

公式サイトはこちらです



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