2019年10月日米同時公開。ヴェネツィア国際映画祭金獅子賞受賞。監督はトッド・フィリップス、主演はホアキン・フェニックス。DCコミックス『バットマン』に登場するスーパーヴィラン(悪役)をオリジナル脚本で映画化。オリジナルみがすごい。
映画ジャンル『重い』ってなんだよwと自分に突っ込みつつ、ロバート・デ・ニーロ先生が出ていることにラスト近くまで気が付かなかった相変わらずのうっかり野郎こと自称ゆるい映画ライターのモグモグです。どこかで観たことある顔だな~とは思っていたのよね。
実は、今回は観に行くことを迷っていました。メンタルやられそうだなと予感していたから。だから生クリーム激盛りのパンケーキとか食べてから臨んだよね。うん、関係なかった。
「ジョーカー」ネタバレも考察も2019年版
予告だけでヤバいなこれ・・というのが分かりますよね?
主演のホアキン・フェニックス(どうしてもお兄ちゃんのリバー・フェニックスのことを思い出しちゃう)は、この変わり様。
4か月で24キロ減量したのだそう。
ダイエット本出したら売れそうですが、リンゴを1日に1個という、絶対やったらあかんやつ!
歴代ジョーカー
ジョーカーは有名なキャラクターですから、これまでも数々の名優が演じています。
『ダークナイト』のヒース・レジャーがやはり一番に浮かびますかね。若くして亡くなったので、伝説にもなりますよね。
「ジョーカー」がいかにして「ジョーカー」になったかという、ジョーカーの生い立ちから現在に至る物悲しさをホアキン・フェニックスは見事に演じていたと思います。オリジナル脚本なので、こういう設定だったら?という実験的な映画でもあるかなと。観進めていくうちに、こういうことがあったからこうなっていくのか!という、小ネタ要素も。(バットマンの幼い時とか、収容された病院とかw)
モグモグ的にはチェロの音楽と、アーサー(ジョーカー)のダンスシーンがたまらなかったです。
「ジョーカー」あらすじとネタバレも考察も2019年版
ピエロを生業として病気の母親と貧しい二人暮らしのアーサー(ジョーカー)。本人はメンタルを患っており、過去に受けた頭への衝撃のせいで緊張すると笑いが止まらなくなってしまう障害も。薬をもらうために福祉サービスを受けていますが、市の意向でそのサービスも打ち切りに。仕事もクビになり、挙句の果てには地下鉄の車内で絡んできたホワイトカラーたちを撃ち殺してしまいます。ひょんなことから自分の出自を知り確認しに行くも父親だと思っていた人物からはひどく殴られて拒否される始末。
母親の過去を調べると、自分が幼い時に当時の父親からひどい虐待を受けていたこと(そのせいで笑いが抑えられない神経障害に)、自分は養子で母親と血がつながっていなかったこと、その母親は虐待される自分を見捨てていたこと。ろくな学習の場も与えられず、食事もそこそこに衰弱した身体・・。あまりの酷さに彼は自分の過去を失くしてしまったのだと思われます。
貧困、仕事がない、病気を患っていてまともに働けない、そして過去には相当に酷い虐待を受けていた・・・。彼のせいではないのに。今の状況は彼のせいではないのに。彼から誰かを傷つけることはなかったのです。ある種の正当防衛なのではないかと思ってしまう。
現実から目を背けるには妄想しかないよなと思います。とにかく妄想がひどい。これも彼の妄想だったんかい!と、モグモグは何度だまされたことか。
そんなアーサーの夢はコメディアンになること、素人が舞台に立てるキャバレーのようなところってあるじゃないですか。そこで真面目にネタ帳を出しては披露するのですが、まーウケない。今まで生きてきて腹の底から楽しいと思ったことのない人間がジョークなんて考えられないのではと余計なお世話だけど思ってしまったよ!
妄想でデートしまくる同じアパートのシングルマザー。妄想だったのかと分かるシーンはゾッとしました。
とにかく、彼の生い立ち、置かれている環境がひどい、ひどすぎる。これでもかというぐらいのダークサイドに堕ちるにはふさわしい理由の数々。
「ジョーカー」ラストシーンネタバレも考察も2019年版
監督のトッド・フィリップスは以前からオファーがあったこのコミックスが原作の作品に、「そういう映画は観ないので」と断り続けていたそうです。監督が若いころに観た『タクシードライバー』や『狼たちの午後』『カッコーの巣の上で』等、人物描写重視の作品に今作は影響を受けているのだそう。最近はそのような作品が少なく、それは観客に求められていないからだろうと考えた監督は人物中心の映画で観客を呼ぶためにはコミックスでやるのがいいのではないかと思い制作に取り掛かることに。また、始めからホアキン・フェニックスでやると決めていたそうです。
ホアキン・フェニックス以外は考えられないなと見終えた後に思いましたが、彼のプライベートが気になり調べたところ、パートナーはあのルーニー・マーラなんですね!
共演がきっかけだそうですが、演技派のお二人とってもお似合いですね!
さて、問題のラストシーン。
血の付いた足跡を付けながら病院と思われる廊下を病院の職員に追いかけられて逃げ回るジョーカー。コミックスで出てくる架空の精神病院『アーカム・アサイラム』と思われます。ちなみにアーサーの母親が入院していたのもここの病院かと。今までの重ーい雰囲気が一転、少しコミカルなシーンでもあるので面食らってしまう人も多いのでは?コメディ作品を多く撮る監督の『らしい』演出なのかなと。
まだまだ全国で上映中です!