2003年アメリカ映画。人種問題をテーマに扱った、ピュリッツアー賞作家の小説を「クレイマークレイマー」のロバート・ベントン監督が映画化した作品です。
誰にも打ち明けられない秘密を持つことのつらさ
アンソニー・ホプキンスとニコール・キッドマン主演の今作は、役者のビッグネームだけで選んで観てしまうと後から少し後悔してしまうかもしれません。テーマが重いだけに色々と考えてしまう。
大学教授のコールマン(アンソニー・ホプキンス)は教壇でつぶやいたあるひとことが原因で大学を追われることになってしまいます。職を失ってすぐに妻が亡くなり、失意の真っただ中のコールマンはフォーニア(ニコール・キッドマン)と出会います。フォーニアも心に傷を抱えた女性で年齢の差も超えて二人は恋に落ちます。
最後に、二人はお互いの秘密を打ち明け合うんですよ。コールマンは亡き妻にも言えなかった秘密。
特にコールマンの告白は「そんなことってあり?!」と思う内容で驚きました。
アイデンティティと性愛とマイノリティとポリティカルコレクトネス
コールマンが辞職に追い込まれる原因となった言葉が「spook」なんですね。幽霊とかお化けという意味ですが、侮辱的に「黒人」という意味もあり黒人差別の発言だとして大学を追われてしまいます。コールマンが黒人を差別するはずがないんですよ。さぼる生徒が多いクラス、教壇で「spook」と言ったんですね。Dusty Springfieldも「spooky」を歌っていますよ。(クラシックス・フォー67年の大ヒット曲)黒人差別の意味があるなんてほとんどの日本人は知らないんじゃないでしょうか。
一方、フォーニアは結婚して夫がいるのですが、家庭内DVに悩まされています。夫はベトナム戦争帰還兵なんですね。精神を病んでしまっているんです。うーん、難しい問題・・
そんな傷ついた二人が出会って恋に落ちるのですが、歳は相当離れているし、不倫だし、高齢者の性の問題もありで、うーん、難しい問題・・
最後にコールマンはフォーニアに秘密を打ち明けます。
人種問題のむずかしさ
ここからネタバレです。結末を知りたくない方はまたお会いしましょう!
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実は、コールマンも黒人だったんですね。
肌の色がそれほど黒くない黒人の人もいるんですね。マイケルのような人工的な肌の色ではなくナチュラルに黒くない。コールマンは白人として生きてきたので、今さら自分は黒人だったとは言えないわけです。黒人生徒を侮辱する言葉を黒人のコールマンが言うわけがない。けれども、実際に白人であることの生活の恩恵はこれまで計り知れなかったと思うのですよね、あくまでも想像の範囲なんですが。
これは日本人の私たちには理解しにくい、本当のところは理解できない問題なのではないかと思います。